映画『ウォーフェア 戦地最前線』感想レビュー リアルすぎる戦場体験が突きつける「戦争の正体」

movie

戦争映画と言えば、やはりどこまでリアルな戦闘シーンを再現するか?がポイントになってきたりします。

それは『プライベート・ライアン』、『ブラックホークダウン』に代表される忠実な「破壊」が生み出すカタルシスみたいなもので。

で、結局のところこの肝の部分だけを見せつけられるとどうなのか?

というのが本作。

まさに戦場に放り込まれたような感覚ですごい緊張感を味わえる作品でした。

『ブラックホークダウン』の感想 それは破壊の記録。

映画『ウォーフェア 戦地最前線』とは?A24が描く新しい戦争映画で戦場を体感しよう。

ウォーフェアは、A24が手がける戦争映画です。

A24といえば、これまでにも緊張感や心理描写に重きを置いた作品を送り出してきましたが、本作も例外ではありません。

いわゆる英雄譚ではありません。
感動のカタルシスも、わかりやすい正義も提示されません。

あるのは、ただひたすらに生々しい戦場の空気です。

同じくA24が手がける問題作『シビルウォー』の感想はこちらからどうぞ。

あらすじ(ネタバレなし)

物語は、ある任務に投入された兵士たちの行動を追います。

特別なヒーローは登場しません。
劇的な演出も最小限です。

むしろ本作が描くのは、極限状態の中で削られていく人間の精神です。

観客は物語を追うというより、
戦場の一角に放り込まれたような感覚になります。

リアルすぎる戦場描写「映画を観ている感覚」が消える

本作を観ていて何度も思ったのは、
「これは娯楽なのか?」という疑問でした。

銃声は乾いています。
爆発は派手ではなく、重たい。
音の圧が身体に残ります。

カメラは観客に優しくありません。

説明しない。
盛り上げない。
感情を誘導しない。

ただそこに戦争があるという事実だけが提示されます。

戦争映画というより、戦場の記録映像に近い感覚でした。

ヒロイズムを排した構造 誰も特別ではないということ。

従来の戦争映画は、
ある種の英雄像を提示してきました。

しかし『ウォーフェア』は違います。

誰も無敵ではありません。
誰も象徴的な存在ではありません。

兵士は、恐れます。
迷います。
判断を誤ります。

その姿が、やけに現実的です。

「戦争は勇敢さの物語ではない」

そんなメッセージが静かに、しかし強烈に伝わってきます。

戦争の正体、実態は「混乱」なのかもしれない

本作を観ていて印象的だったのは、
状況の把握が極めて困難であることです。

敵はどこにいるのか。
味方は無事なのか。
次に何が起こるのか。

わからない。

戦争とは壮大な戦略の話ではなく、
現場レベルでは「混乱の連続」なのだと感じました。

そしてその混乱の中で、人は本来の姿をさらします。

冷静さか、暴力性か、無力感か。

それを突きつけられる時間でした。

Re:40世代として観る『ウォーフェア 戦地最前線』

若い頃なら、
もっとアクションの爽快さを求めていたかもしれません。

けれど今は違います。

家族がいる。
守るものがある。

だからこそ、戦争のリアルを観るのが少し怖い。

この映画は、戦争を美化しません。
だからこそ重たい。

エンタメとして消費できない映画です。

それでも、観る価値はあります。

なぜなら本作は、
「戦争を想像すること」から逃げさせないからです。

映画『ウォーフェア』はこんな人におすすめ

・リアル志向の戦争映画を観たい人
・ヒロイズムに違和感を持っている人
・A24作品の緊張感が好きな人
・戦争を物語ではなく現象として体感したい人

軽い気持ちでは観ないほうがいいかもしれません。

でも、心に残る映画であることは間違いありません。