『13時間 ベンガジ秘密の兵士』近代戦の迫力映像は見応えありだが‥?

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『13時間 ベンガジ秘密の兵士』

新年一発目の映画は戦争モノ。

と言っても日本では映画未公開、惜しくも(?)DVDでの発表となった作品です。

なんと言ってもあのマイケルベイが実話を映画化するのだから、これはチェックしておかなきゃいけません。

…という言い訳めいたことはともかく、Amazonプライム・ビデオのオススメで見つけた流れで早速視聴。

戦争物かつ実話をマイケルベイ?

こりゃ色んな意味で期待しちゃいますよね?

では早速レビューしていきましょう。

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マイケルベイが実話を描くには重すぎた?それでもさすがの迫力映像!『13時間』を観ました。〈ネタバレ注意〉

まずこの映画の元となった事件があります。

それがこのリビアのアメリカ大使館襲撃事件。ことの発端はイスラム教を侮辱した内容の映画だったようです。

2012年アメリカ在外公館襲撃事件(2012ねんアメリカざいがいこうかんしゅうげきじけん)は、アメリカ合衆国で作成された映画”Innocence of Muslims”(イノセンス・オブ・ムスリム)がイスラム教を侮辱するものとして、これに抗議するためエジプトやリビアなどアラブ諸国のアメリカの在外公館が2012年9月11日以降、次々に襲撃された事件である。Wikipediaより

正直今の中東情勢を語るのに、本当に理解して説明できる人がいるのかどうなのか?特にワタシは…無理ですね。。

きっと1つ1つはシンプルで、紐がほどけてみれば一気にズバっと理解できるのかもしれませんがそこに感情とかが絡み合ってあるので多分ワタシには無理です。

ただ、この手の問題に対して頭ごなしに無理だと、見て見ぬ振りをするのもなんか正しくない気がします。

せめて自分なりの意見くらいは言えるようになりたい。

前置きが長くなってしまいましたね。

ではそんな複雑に絡み合ってしまった中東問題で起こった1つの事件。しかもその原因は「映画」です。それを映画で取り扱う。。言わばアンサーソング的な立ち位置でこの問題をド派手な演出が得意なマイケルベイがどう扱ったのか?

あらすじ

2012年にリビアで発生したイスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したアクションドラマ。事件を取材したジャーナリストのミッチェル・ザッコフによるノンフィクションをもとに、支援を絶たれた6人のCIA警備兵が繰り広げる13時間の激闘を臨場感たっぷりに描き出す。12年9月11日、リビアの港湾都市ベンガジにあるアメリカ領事館が、イスラム過激派の武装集団に占拠された。領事館のほど近くにあるCIAの拠点アネックスは救援要請を傍受するが、アネックスの存在自体が極秘であるため手を出すことができない。アネックスに派遣されていた軍事組織GRSの6人の警備兵たちも待機命令を受けるが、領事館を取り巻く状況が緊迫していくのを見過ごすことができず、任意で救援活動に乗り出す。映画.comより引用

マイケル・ベイが描く近代戦は見る価値あり。

まず最初にハッキリ言っておきます。

映画としてはなかなか面白かった。

でも史実として、そして中東情勢について何かを感じようと思うのなら多分この作品じゃない。

史実として、って言いかたもあれですが、もともと実話をベースにした戦争映画で今回の戦闘に似ているところで『ブラックホーク・ダウン』という作品が既に存在しています。

これはもう一切のドラマが介在することを拒み、淡々と1つの戦闘を描ききった名作です。最後までニヒリズムに満ち、登場人物たちはただ血を流すことになる壮絶な作品です。

背景も語らない。

主張もない。

ただリアルな戦場を描いたこの作品は今でもワタシの中に強烈な思い出を作ってくれました。

過去記事

『ブラックホークダウン』それは破壊の記録。

静かな衝撃『アメリカンスナイパー』が撃ちぬいたもの。

今作はどうか?

映画としてはなかなか良いんです。

ちゃんと序破急の流れをしっかりと作っているし、キャラクターたちのドラマもちゃんと描いてます。

そしてお得意のラストのドンパチはやっぱり凄いものがあります。

だから、【映画としてはなかなか面白いんです】

ただ……

結局お決まりのアメリカイズムが少々強すぎです。

エンタメ作品として観るなら良いけど、じゃあこの問題を扱わなくても良いんじゃない?

『アメリカンスナイパー』にしろ先の『ブラックホーク・ダウン』にしろどちらもアメリカがやらなくて良い戦争の導火線に火をつけて始まった戦いに巻き込まれてしまう兵士たちを淡々と描いています。

だけどこの2作品はそこに答えを用意していないんですよね。ただこういう戦闘があって、そこを経験した兵士たちの姿を見せてくれるという。

だからそれがすごく見ていて悲壮感が漂います。

実際凄い衝撃を喰らいました。。

今回の作品はそこまで徹底できなかったんですよね。

だからちょっとずつキャラクターたちにドラマ性を与えてしまいます。(奥さん妊娠とかね)

まぁ今回は主人公たちが純粋なアメリカ軍兵士ではないという状況もあるのでしょうが、、それにしてもちょっと分かりやすいこのキャラクター造形がいかにも過ぎます。秘密組織もCIAも‥確かにこんな秘密組織が存在すること自体は初めて知りましたが‥

そんなもんだから戦闘自体も「いかにも」なんですよね…そのあたりが邪魔をしていたように思えます。

またもう一つ言わせてもらうと

少し長い。

特に終盤のドンパチシーンは何回かに分けて敵が襲撃してくるのですが、これがちょっと間延びした感じが強いです。

コーランによる休戦風景も孤立無援な状況もどことなくブラックホークダウンそのままだし‥

それでも目を見張る映像作品として。でぃすけのつぶやき

でも、じゃあつまらないかと言われるとそうではない。流石はマイケルベイ。いかにもなキャラクターたちによるいかにもな闘いをこれでもかというドンパチ映像としてしっかり仕上げています。

まず先ほども触れた序破急。

これがとても上手。

映画冒頭、いきなり戦闘に巻き込まれそうになるシーン。これもギリギリの緊張感を持って戦闘を回避させたり、極秘作戦に出動するときもあえて過剰にさせないカーチェイス。

焦らしますよね。

これが緊張感を高めてくれます。

そしてクライマックスに向けて絶望的な状況に追い込んでいく見せ方はお見事です。

この作品は主人公たちのキャラクター造形はしっかりやってるけど「敵」の説明がほぼ皆無なので見ている人は誰が敵なのかわからない。多分意図的にやってますね。

これが良い具合にドキドキさせられます。

そしてなんと言っても今回はブラックホークダウンの時よりも10年くらい最近の事件を扱っているだけあり、近代戦をたっぷりと堪能できます

ドローンによる敵の把握だとか装備の数々は見応えあります。そして軍事組織GRSの存在。これはこれからの戦争のあり方を予想させてくれます。

とにかく映画としてはなかなか面白かった本作。有名どころが出演していないからなのか日本では映画館での公開はありませんでした。

後半の迫力さはやっぱり映画館で魅せたかったんじゃないかな?とは思うけど、、

いかにもな作品、ギリギリ凡庸な作品にならずに踏みとどまったマイケル・ベイのドンパチ力の勝ちかな?

 

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