続編は消滅したけれど、映画「ドラゴンタトゥーの女」が生み出した強烈なヒロインについて語りたい。

dragon-tatoo-1本/映画/感想
先日ワタシの人生においてかなり影響力の大きかった作品たちをまとめてみる機会がありました。
 
そこでエントリーした作品で、なおかつまだ語り足りないという想いからこの『ドラゴンタトゥーの女』をレビューさせていただきます。
 
 
 

エグい描写もスタイリッシュ!フィンチャー版『ドラゴンタトゥーの女』が描いた新世代ヒロイン誕生の衝撃。

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随分と仰々しく題打ちましたが、この作品にはそれに相応しい素晴らしいヒロインが誕生します。
 
 
この作品はまず原作があります。
『ミレニアム』と名付けられたこのシリーズは第1作目「ドラゴンタトゥーの女」からはじまり2作目、「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」と全部で3作に渡ります。
 
そしてこの『ドラゴンタトゥーの女』はかつてスウェーデンにて映画化されています。こちらはちゃんと3作全てを映像化しているようですが、生憎全ては観ていません。
 
でワタシがかなり熱を上げて気に入っているのがこのハリウッド版。
 
デビットフィンチャーが撮ったこの『ドラゴンタトゥーの女』です。
 

ニュータイプのヒロイン。リスベットに魅せられて。

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今回はあくまでリスベットというキャラクターを中心にレビューしますのであらすじとかストーリーについてはあまり触れません。悪しからず。
 
この作品の一つの功績は新しいヒロイン像を確立させたことです。
 
かつて女性キャラクターというと美しさが求められながらも作品を代表するほどの顔には成れず、ヒロインとして名を残すためには美しさだけではなく、フィジカル面でもビジュアル面でも「強さ」というのが求められてきました。
 
決して守ってもらうことなく、闘って存在を確立させる。
 
エイリアンと殴りあったリプリー然り、男性社会の生贄となった現代のジャンヌダルク、クラリススターリング然り。
 
彼女たちが作品に呑み込まれずにしっかりとそのキャラクターを誇示できたのは力強さゆえだったかと思います。
 そしてここにもう一人新たなヒロインが誕生したのです。
 
小柄で内気でコミュニケーションに難あり
 
ジャンクフードと煙草漬けの生活
 
パソコンを扱わせれば世界一のハッキング技術を持ち、仮想空間では向かう所敵なしな彼女ですが現実では後見人をつけられ、感情表現は下手で非常に不器用な女性です。
 
一見すると随分とバランスの悪い彼女も歴代のヒロインたち同様闘うことでキャラクターを確立させ、観る者にその姿を強烈に焼き付けました。
 
ある時はMacBookで、そしてある時はゴルフクラブで。
 
演じているのはルーニー・マーラ、ワタシは後日調べてわかったのですが、『ソーシャルネットワーク』に出てたあのブロンドのお嬢さんです。
今作ではあの上品な感じは微塵もありませんね。
 
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バイオレンスあり、キワドいベットシーンありとイメチェンにしてはかなり激しいものがあります。ハードなトレーニングで原作のリスベットの体重に近づけ、耳のピアスは自前だそうですし、キワドいシーンも勿論体当たりでの演技だったそうです。恐れいります。
 
 こういう強烈なキャラクターを演じてしまうとその役が呪縛のようになってしまいそうですが、果たしてどうでしょうか。
 
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ヒロインに見惚れてばかりはいけません。

 
ここからはさすがフィンチャーとワタシが釘付けになったオススメシーンをまとめていきます。
 

①オープニング

 
 まず冒頭からヤられます。
 
ドラムのリフから大音量でかき鳴らされる曲はなんと「移民の歌」。あのツェッペリンの名曲を奇才トレントレズナーがリミックスしたバージョンです。映画作品でこの曲を大音量で聴いたのはあの名作『スクール・オブ・ロック』以来の衝撃です。
 
 
 
Apple機器のシルエット、縛られていく少女。映画史上かなりインパクトのあるオープニングです。このビジュアルセンスには脱帽です。
 
なんでもこのオープニングはヒロインであるリスベットの悪夢をイメージしているそうです。
 そしてさりげなく本編ともリンクしているという凝った作り。
 
このオープニングたけでも観る価値あります。
ちなみにフィンチャー作品『セブン』のオープニングも観る価値あります。
 

②Apple信者歓喜

 
とにかくMacBookが活躍します。
主人公で今回のミステリーの謎を解くミカエルも資料をまとめるのに使用します。
そしてリスベットはハッキングツールとして酷使しています。
 
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ミカエルのデスクトップ画面がノーマルな感じなのに対し、リスベットのは黒を基調とした玄人感がしっこり出てる設定に思わずニンヤリしてしまいます。
 
ワタシも当時これを観て真似しました(今のOSだと簡単にメニューバーを黒くできるのですが当時はちょっと工夫が必要だったんですよ)
 
これでもかとMacBookが格好良く画面に登場するのですが配給はSONY。
 
その辺りは大丈夫だったのでしょうか。。
 
 

まとめ

 
最後はなんだか関係ない話で締めてしまいましたが、今回挙げた見所はあくまでも個人的なツボに過ぎません。
 
この作品はそもそも第一級のミステリーでありサスペンス・ドラマであります。
フィンチャーが得意とする暴力描写やエグい描写も、よくあるビジュアルのインパクトだけを追求したものではなく、ストーリーに取って必要なものとして描いています。
 
目を逸らしたくなるシーンもあるかと思います、しかし
それ以上に最後まで見届けたくて仕方ないほどの衝動に駆られます。
 
サスペンス作品としての完成度の高さにはもう感動してしまいました。
 

補足ですが

 
あのシーンのモザイクはやはりこういう場合は完全に冒涜でしかないと思います。日本での配給会社にはその辺りをもう一度よく考えてもらいたいものです。
DVD、BDはこちらのバージョンでしたらモザイクなしで見れます。
 
やっぱりあれは不自然だなと思うはずです。
 
それからもう一つ、ワタシも楽しみにしていただけに非常に残念なのですが
ずっと制作中と報じられていた続編製作ですが、現在白紙になってしまったとの情報が入っています。
 
 
興行収入やSONYの体制が変わったこと、また前作公開から3年以上経過してしまった点なども見ると、この情報かなり信ぴょう性高そうです。
 
原作を全て読破した者としては、続編の映像化もかなり期待していただけに残念です。
ただもっと言えば、原作者であるスティーグ・ラーソン氏がこの作品を未完のままこの世を去ってしまったことこそが、最大の喪失ではありますが。
 
未完の人は是非、一度観た人はもう一度愉しみましょう。

 

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コメント

  1. […] ワタシは以前『ドラゴンタトゥーの女』でも書いたのですが、新しいヒロイン像の輝き方はハンパないですね。 […]

  2. […] 続編は消滅したけれど「ドラゴンタトゥーの女」が生み出した強烈なヒロインについて語りたい。  […]

  3. […] 続編は消滅したけれど『ドラゴンタトゥーの女』が生み出した強烈なヒロインについて語りたい。 […]

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