映画『ピエロがお前を嘲笑う』見たい現実だけを見る心【ネタバレ注意】
マインドファックムービー?!
聞き慣れないワードとともに気になって鑑賞してみましたが・・
この映画は「どこで騙される」のか どんでん返し映画には、ある弱点があります。 “どんでん返しがある”と知った瞬間に、身構えてしまうこと。 観る側は無意識に構え、 物語の裏を探し始める。
それでもなお、騙される映画とは
いったい何を仕掛けているのでしょうか。
映画『ピエロがお前を嘲笑う』は、 単なるマインドファック作品ではありません。
この作品が本当に突きつけてくるのは、 人は見たい現実しか見ない という、かなり残酷な真実です。
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映画『ピエロがお前を嘲笑う』を徹底考察する。【ネタバレ注意】
作品情報
•原題:Who Am I – Kein System ist sicher
•製作:2014年/ドイツ
•上映時間:106分
•ジャンル:サスペンス/マインドファック
あらすじ
仕組まれた“真実らしさ” 天才ハッカー集団CLAYの一員ベンヤミン。 彼は逮捕後、捜査官ハンナにすべてを語り始めます。
カリスマ的リーダーMRXの存在や国家規模のハッキング計画。自身が追い詰められていく経緯など。しかし捜査が進むにつれ彼の証言には決定的な矛盾が見つかり・・CLAYというチーム自体が存在しない可能性も。
ここから物語は、 観客の認識そのものを揺さぶり始めます。
第一の罠 多重人格オチの既視感
本作の最初のどんでん返しは比較的読みやすい構造です。
仲間はすべて主人公の人格で事件も自己演出。現実はもっと孤独であるというもの。
この構造は 『ファイト・クラブ』以降、幾度も使われてきた仕掛け。
つまり観客はここで「理解した気になる」。
でも本当の罠はこのあとにある。
第二の罠 理解したと思った瞬間に騙される多重人格オチすら囮。
すべては 証人保護を勝ち取るための精密な社会的ハッキング。
ここで重要なのはトリックの巧妙さではありません。
本当に面白いのは観客自身が納得できる物語を選んでしまっていることです。
だいたい「どんでん返し」モノというのは事前にそうであることが判ってしまった時点でかなり不利になるもの。
だからこれを売りにする作品というのは余程の覚悟が必要だし
そんじゃそこらのストーリーでは成り立たないリスクがあるわけです。
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【結論】マインドファックされたい人はおすすめ
人は真実より、理解しやすい説明を信じてしまう。
この映画はそこを突いてくる。
この映画の核心
それは嘲笑われているのは誰かということ。
タイトルの「ピエロ」は 作中の誰かではありません。
そうです。嘲笑われているのは我々観客そのものです。
先入観に頼る思考で分かったつもりになる安心感。
真実より物語を選んでしまう弱さ。
それらすべてを見透かして映画は静かに笑っている。
どんでん返し映画でお前は嘲笑われたか?
ここからネタバレ注意です、まだ観ていない方はお気をつけください。
ある事件から追い込まれたベンヤミンは出頭し、証人保護プログラムを申し出る。
その条件として今回のトラブルの発端になった天才ハッカーMRXの情報を提供すると。そして見事MRXの正体を暴き、逮捕へ導いたベンヤミンは証人保護の準備を待っていた。
しかし、担当捜査官ハンナはベンヤミンの話に違和感を感じ、彼の身辺を調べ始める。
そこで判明してくる数々の疑惑。
彼の母親が多重人格であったことから、主人公たちハッカーチーム「CLAY」もベンヤミン一人が人格を作っていたと判断する。
精神疾患者には証人保護を与えることができないという条件があり、主人公ベンヤミンの狙いは破綻したかに思えた。
だが、そこでハンナは自分の手柄につながった同情から、証人保護プログラムをベンヤミンに操作させ、結果的に彼を逃がすのだった。
そして次のシーンで我々は更に「驚かされる=どんでん返される」ことになる。
本作はこの二段落ちの仕掛けがポイント。
一つ目は多重人格オチ。これは先程のファイトクラブ同様。ハッカーチームそのものが幻。すべては自分自身が作り出した幻想であったオチ。
二つ目は、そう思わせておいて実はその多重人格オチすら囮で、さらに本当はベンヤミンたちが一枚上手だったというオチ。
と、たしかに最後に「おぉ」となりましたが
果たしてどんでん返しと呼んで良いものか??ただ何とも言えない後味が残ったのは事実。
感じた後味の正体。
普通のどんでん返し映画は驚きと同時にカタルシスがあります。
しかし本作にはそれがほとんどない。
残るのはただ一つ。
「自分は何を見せられていたのか」という漠然とした感想。
この感覚は、真実の不確かさではなく自分の認識が信用できない怖さに近い。だからこそ、静かに尾を引き続けます。
Re:40的に見るこの映画
現実もまた編集されている少し視点を変えると、この物語はハッカー映画ではありません。
むしろ現代そのものの寓話に見えます。
•SNSの人格
•都合よく編集された記憶
•信じたい物語の共有
私たちもまた現実をハッキングしながら生きている。そう考えると、この映画の嘲笑は急に近くなる。
似た感触を持つ作品として
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現実認識そのものを揺らす映画が好きな人には、 確実に刺さる一本です。感想を書いてますので良かったら読んでください。
騙されたのではなく選んでしまった『ピエロがお前を嘲笑う』は巧妙などんでん返し映画です。
でも本質はそこじゃない。
この映画が突きつけるのは人は真実より信じたい物語を選ぶという現実。
だから最後に残るのは驚きではなく
静かな居心地の悪さなのだと思います。
「どんでん返しモノ」が好きな人には物足りないかもしれませんが、サスペンスモノが好きな人はそこそこ満足できる仕上がり。
というところでしょうか。
と、いうのもやはり「どんでん返し」するぜって売りの作品は、最初からちゃんとそれなりに意識して見始めるわけですよ。
だから生半可な「どんでん返し」では「どんでん返されない」リスクがつきまといます。
そこへ作品内でも露骨にオマージュしてますが「ファイトクラブ」に対する色が強い。(フィンチャーほどこだわったアングルや色調はありませんが)
だからなんとなく結末も予想できてくる。
本作はさらにもう一発仕込むことで「マインドファック」を声高に叫ぶわけですが・・
終盤重要な台詞があって
「人は見たいものしか見ない」
まさにこれ。
騙されたい人が観れば面白い作品であることには間違いない。













