『ハンニバル』シリーズのレクター博士、その魅力とは?
ハンニバル・レクター博士 カリスマサイコヒーロー誕生。
猟奇サスペンスという新ジャンルを刻み込んだ偉大なサイコホラーマッドネス・MR.ハンニバル。
それまでの流れを変えることになる程のインパクトを放つ作品というのが稀にあります。
個人的に、といった限定的な記念碑ではなくおそらくその業界、そのジャンルにおいてその後のフォロワーたちに多大なる影響を与え、それがまた苦悩の種となったであろうインパクトを。
苦悩の種は呪縛として大きく花を咲かせ、たくさんの作品が放出されては無残にも散っていくことになりました。
美技美麗なメタルシーンをニルヴァーナのグランジが吹き飛ばしたように、人類の進化の歴史が常に破壊と創造であったように、明らかに転換点として刻まれた存在があるのです。
今日はその一つの転換点となった作品、そしてその作品の枠中に収まりきらず、今もなお強烈なキャラクターとして君臨し続ける偉大なるサイコキラーを紹介します。
与えた影響は計り知れない。ハンニバル・レクター博士の功績。
今でこそ知名度の高い言葉となった「プロファイリング」ですが、この言葉は間違いなくこのトマス・ハリスよって広く知れ渡ったと言っても差し支えないでしょう。
このプロファイリングとは犯罪を行動科学的に分析し犯人の特徴を推論すること。
そしてこのプロファイリングを駆使して事件を解決に導くというそれまでにない知的な方法に加え、博士の相手を操る巧みな心理戦はとにかく興奮させられたものでした。
『レッドドラゴン』、『羊たちの沈黙』そして『ハンニバル』。これらの作品で主役、いやそれ以上の存在感を放った強烈なキャラクターが登場します。
それが今日ご紹介するハンニバル・レクター博士その人です。
レクター博士ファンは数多く、作品を飛び出しキャラクターとしてここまで人気のあるダークヒーローは珍しいでしょう。
今日は彼の登場作品を一つずつ取り上げて紹介していく…なんてことはしません。
ハンニバル・レクター博士について紹介することで、自ずと彼の活躍する姿を見たくなるはずですから。
ハンニバル・レクターの魅力
【人喰いハンニバル】と呼ばれ精神病棟の奥深く、セキュリティレベルがもっとも高い独房に収容された男。
彼の登場シーンとしてもっとも印象的なのはやはり『羊たちの沈黙』でのクラリスとの初対面の場面でしょうか。
著名な精神科医でありながら、人間の臓器を調理し食してしまうという異常猟奇殺人者であるハンニバル・レクター。
教養、人間性として侮蔑すべき人間を容赦なく殺害し、美しく調理して食べてしまうという猟奇殺人者。
その類い稀なる頭脳により事件を解決し、さらには捜査陣を翻弄し自由をまんまと手に入れてしまいます。
登場作品の評価。
一つずつ登場作品を紹介しないとは言っても、やはり作品自体にまったく触れない訳にはいきません。
ワタシは物語として楽しめるのやはり『レッドドラゴン』から『羊たちの沈黙』までかなと思います。
この2作は非常に完成度の高いサスペンスとなっています。どちらも映画化され、映画も素晴らしい作品です。原作も面白くて映画も素晴らしい、という最高の作品です。
ただ一つ弊害があって
ハンニバル・レクター=アンソニーホプキンスというもう未来永劫切り離せないであろう鮮烈なイメージを我々に焼き付けてしまったことでしょうか。
何回小説を読み返しても、きっと頭の中のレクター博士像は決まってしまっていることでしょう。
で。
物語としての完成度は間違いなく先ほどあげた2作であるわけですが、ハンニバル・レクター博士その人を堪能出来るのは『ハンニバル』であります。
名作?迷作?『ハンニバル』
この『ハンニバル』、作品の流れとしては『羊たちの沈黙』から10年後が舞台です。
あのレクター博士が帰ってくる、ということで小説が発売された時はちょっとした騒動になったし、読んだら読んだであの衝撃のラストに賛否両論。
で映画化されるというんで一波乱。
そして映画もまた賛否両論と前の2作と比べてかなり騒がれてしまった作品です。
個人的にはこの『ハンニバル』こそレクター博士の魅力を堪能できる素晴らしい作品だと思ってます(物語自体は置いておいて)
何せこの作品ではレクター博士は暗い独房に閉じ込められてはおらず、自由に自分の足でイタリアの街を歩き、ハープシーコードを奏で、好きな料理、好きな音楽を楽しむ一流文化人として所狭しと活動しているのです。
もうこのレクター博士の生活を覗き見ているだけで充分です。
物語として、よりもこのハンニバル・レクターについて知りたいのであればもう真っ先にこの『ハンニバル』読んじゃいましょう。
何度も言いますが、物語としては置いておいて。
気品ある殺人鬼。
博識で知能指数も高く、記憶の宮殿を頭脳の中に築き上げ、記憶力も桁外れ。
知力だけで事件解決の糸口を与えてしまうほどの頭脳を持ち、看護師の鼻を噛みちぎった時ですら平常値から変化しなかった頑丈な心拍を持ち、屈強な不良イタリア人たちを物ともせず瞬殺する敏捷な身体を持ちながら、クラリスへの執着から危険な目に合ってしまうお茶目な一面もある殺人鬼。
人を操ることに長け、芸術、音楽への造詣も深く、生まれつき指が一本多くて、幾つかの文化人の身分を自由に使い分け逃走中とは思えぬセレブな暮らしに明け暮れた殺人鬼。
戦争中、妹を脱走兵によって食べられてしまうという壮絶な過去をトラウマとしながら、ちゃんと自分のトラウマに苦しむ人間性を持ちながら超然と目的を達成していく姿は新しい怪物像を見事に表現しています。
そのセンス、価値観は人間として別格であります。
やはり怪物と呼ぶに相応しい。。
資料としても面白い『記憶の宮殿』
ワタシはかつてこのブログで少し紹介したことがあるのですが、このレクター博士が使っている「記憶法」に魅了されたことがあります。
この記憶法について詳しく解説した本があって、これは今でもワタシの本棚にちゃんと収納されています。
[browser-shot url=”https://diskdisk.link/disk-app-dayone-use3″ width=”600″ height=”450″ href=”https://diskdisk.link/disk-app-dayone-use3″ alt=”DayOneで記憶の宮殿を作る” target=”_blank”]DayOneで記憶の宮殿を作る。
記憶の宮殿とは?
この本ではレクター博士の趣味・嗜好についても研究されていて資料としてとても楽しく読めるものになっています。
レクター博士に興味がある人は是非一度手に取ってみてください。
ただし
やはり怪物は遠くから眺めるだけで良しとしましょう。あまり近づき過ぎると危険ですからね。
そしてやはり一作品ずつちゃんと感想を書いていきたくなりましたね。
近いうちにとりかかります。
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