映画『ターミネーター:ニューフェイト』終わらせられない審判の日【ネタバレ注意】

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ワタシたちのターミネーターはいつになったら無事にターミネート=終結させることができるのだろうか?

ジェームズキャメロンが自らの手でこの物語を終わらせる。

と聞けば、これは観なくてはならない作品である。

そして観終わった今、感想に迷う。

非常に迷う。

と、いうことであまり考えがまとまっていないまま書き進めます。

映画『ターミネーター:ニューフェイト』の感想【ネタバレ注意】

先に声高らかに明言しておきたいのは、

『ターミネーター2』はワタシの魂の本棚に常に鎮座し続ける名作として受け止めている。ということ。

もともと『ターミネーター』というSFの金字塔にしてシュワルツェネッガーというマッチョマンをスターに押し上げた名作で、知らない人はいない作品(伝説)があり、それを当時できたてホヤホヤのCG技術を駆使して超絶バトル映画に進化させた続編にすっかり幼きワタシの心は奪われてしまったのです。

そして

このシリーズはここで終わっておくべきだったのかもしれません。

あれからいくつかの続編を重ねるたびに、一部の映画ファンの方々からは批判され尽くし、このシリーズはもはや終わってしまったと言われてしまいました。※3、4と再評価されてる動きがあるような、ないような。

これは『ターミネーター2』が映画としては超絶面白いんだけど、タイムトラベラーモノとしては少々乱暴に幕を閉じたもんだから、3、4とそれぞれ紡ぎ手の解釈が入り乱れ、結局のところ「物語としての正しさ」を求めると恐ろしく「地味」になってしまうことだけが判明することになったのです。

だから、まさか本家本元ジェームズキャメロンが名作『ターミネーター2』の正しい続編を作ると言い出したからさぁ大変。

否が応でも気持ちは高まるわけです。

死屍累々の横たわっているシリーズの続編たちを横目に、かつての伝説を再び蘇らせ、キャメロンのその手でターミネートさせることができるか?

と、期待値は上がりまくっていたのですが…

『ターミネーター:ニューフェイト』あらすじ

ジェームズ・キャメロンが生み出したSFアクション「ターミネーター」のシリーズ通算6作目で、キャメロンが直接手がけ、名作として人気の高い「ターミネーター2」の正当な続編として描かれる。キャメロンがプロデューサーとなり、「ターミネーター2」以来にシリーズの製作へ復帰。「デッドプール」を大ヒットさせたティム・ミラー監督が新たにメガホンをとった。人類滅亡の日である「審判の日」は回避されたが、まだ危機は去っていなかった。メキシコシティで父と弟とごく普通の生活を送っていた21歳の女性ダニーのもとに、未来から最新型ターミネーター「REV-9」が現れ、彼女の命を狙う。一方、同じく未来からやってきたという女性戦士グレースが、ダニーを守るためにREV-9と壮絶な戦いを繰り広げる。何度倒しても立ち上がってくるREV-9にダニーとグレースは追いつめられるが、そこへ、かつて人類を滅亡の未来から救ったサラ・コナーが現れる。リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーも28年ぶりにカムバックし、シリーズの顔であるT-800を演じるアーノルド・シュワルツェネッガーも出演。グレース役に「ブレードランナー 2049」のマッケンジー・デイビス、ダニー役にコロンビア出身の新鋭女優ナタリア・レイエス。映画.comより

『ターミネート:ニューフェイト』の見どころ

前置きが長くなりましたが、ワタシがこのシリーズに対しての想いは伝えられたかと思います。

要するに、鑑賞の動機はあれでしたが、一応期待していたわけです。

で、鑑賞後、ワタシの中ではものすごいモヤモヤが募るのです。

それは3,4と続けられたシリーズへの挑戦に対し、本作が「正当」を主張してまで描きたかったことは何なのか?これが分からない。

そして、この戸惑いはやがて名作と感じていた『2』の存在すら、そもそも間違いだったのではないか?とワタシを悩ませることになったのです。

そのため、本作の感想については「見どころ」ではなく「疑問」として書いていきます。※逆を言えば見どころと捉えていただければと思います。

疑問1

衝撃の冒頭。若きジョン・コナー殺害シーン

はっきり言ってかなりの衝撃です。

もうこの最初のシーンのインパクトで残りが全然入ってこない。

事前知識として2の続編ということが頭に入っているだけあって、若き日のサラ・コナーとジョン・コナーが登場し盛り上がるわけです。

そして次の瞬間に若き日のシュワルツェネッガーも登場し、あっけなくジョン・コナーを…

まずCGで再現したというこの若き日のトリオ。その出来栄えに心を奪われ、そして瞬く間に起こる衝撃の展開。

この時点で巨匠ジェームズキャメロンは「正当な続編」を放棄したとも思える展開です。わずか3分です、映画始まって。

自らの手でシリーズ2をなかったことにしてしまうという暴挙。

そういった意味ではシリーズ3はちゃんと繋げることを試みていたので、この時点でどちらが何を持って「正当」な続編というのか、よく分からなくなってしまいます。

サラ・コナーが防いだ最悪の未来は、別の似たような最悪な未来となって再びシリーズの特徴である「時代をまたいだ追いかけっこ」を再現するだけとなってしまうのであります。

違うAIの暴走にする意味はあったのだろうか。。

疑問2

怖くない敵

シリーズ2が名作たる所以は、T800(シュワルツェネッガー)に対抗して現れたT1000という新型ターミネーターの存在。

ひょろい体型なのに液体金属という新しい要素を武器に、恐ろしく強い。

バトル映画としては申し分ない展開だったわけです。

しかし、このT1000の存在は後のシリーズに暗い影を落とします。

つまり、「あれ以上」の強さを表現する術が見当たらないのです。女性ターミネーターを登場させたり、トランスフォーマーみたいなゴリゴリ感で押してみたりするものの、我々にとってはどれも「見たことのある」ものだったのです。

そして、本作も同様に敵キャラとしてのインパクトが弱い。

強いてあげれば分身ができるという設定が加わっているものの

恐怖2倍か?と言われればそうでもない。

疑問3

サラ・コナーの立ち位置が分からない。

今回の新主人公を守るため、颯爽と現れたサラ・コナー。

彼女の魅力はこの登場シーンがピークであり、2を想うファンの心を一気に掴むことに成功したと思います。

ただ、この登場シーンがピークです。

少し話が逸れますが、このシリーズの難しいところは、どう転んでもハッピーエンドがないこと。なんです。

これは奇しくもシリーズ2ではっきりと刻まれてしまうのですが、審判の日を防ぐことに成功するとジョン・コナーやサラ・コナーは救世主としてではなく、ただの狂人として終わる。

ジャッジメント・デイが起こって初めて彼らが主役になれる、ということです。

だからどちらに転んでも物語としてのハッピーエンドは訪れない。

本作は来るべき審判の日を防いだのに、新たなAIの暴走という事態に巻き込まれるのですが、サラ・コナーは狂人のまま、しかも未来の設定も変わってしまっているから導くためのキャラクターとしても君臨できない。

ただ、経験値はあるだけの状態になっているので、ちぐはぐな印象がつきまとうのです。※現代の特徴である監視カメラについて言及するのに、まったく役に立ってなかったり。。

と、ここまでかなり言いたい放題書き殴ってきましたが

やっぱりこのシリーズはもう復活させることは難しいんだろうなと感じます。

なんだかんだ、この作品を観た後に

無性に2を観たくなってしまった自分がいる。

 


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