やっぱり好きな伊坂幸太郎作品『死神の精度』を読んで。【ネタバレなし】

本/映画/感想

伊坂幸太郎さんの作品って

やっぱり好きなんですよね。

何度読み返しても、やっぱり好きだなってなる。

この爽快な文体と難し過ぎない展開

何回読んでもやっぱり好きだなってなるし、やっぱり何度も読み返したくなるんですよね。

さすが伊坂幸太郎作品。

 

完成度高し!伊坂幸太郎『死神の精度』を読んで。

今回は伊坂幸太郎作『死神の精度』の感想を綴ります。

伊坂幸太郎さんの作品、実は既に何作も読んでいてワタシの本棚にも何冊か収納されています。なんというか彼の作品は強烈なインパクトも残酷な描写も必要のない静かで緻密で、そして心に響いてくるので、こう定期的に繰り返し読んでしまいます。

そして

たまに読んではやっぱり好きだなーってなるんです。

この作品は短編がまとまって1つの作品になる形式のもので、死神が対象となる人間の【死】を決定するか否かを調査するという設定が斬新な作品となります。ちなみに過去に映画化もされていています。

死神という不思議な視点からワタシたち人間の不思議な?生態ドラマを描くちょっと不思議なファンタジー。今日はこの作品の感想を書いていきます。

あらすじ

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしないーそんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。楽天ブックスより引用。

 

設定の絶妙さ。

今作品の最大の特徴と言えば何と言っても主人公である死神・千葉のキャラクター設定でしょう。

伊坂幸太郎作品にはたくさんの特殊能力を持ったキャラクターや特殊な設定を持つキャラたちが登場してきました。だいたいデビュー作『オーデュボンの祈り』での予知能力を持つカカシから始まり絶対的な体内時計を持つ女性、他人に思ったことを言わせる超能力、怪しくも危険な殺し屋たち‥とそれこそ多種多様の面白い設定や能力者たちが存在します。

今回は死神

しかもこの死神の設定が絶妙過ぎるんです。

なんというかワタシたちが勝手に抱く死神のイメージっていうともっとおどろおどろしくて、恐怖の象徴というか、もう少しメタルのCDジャケットに描かれているようなものを想像してしまいます。

しかし今作では至ってリアル

変にリアル

この変なリアリティがとても斬新で面白いんです。

死神だと名乗り登場するも、よくよく説明を読んでいくとワタシたちの世界のサラリーマンと同じように組織勤めで仕事と割り切って人の生き死にを判断するための材料を調査すると。。

仕事中だというのにサボったり、死に対して仕事だからと割り切っているし

なんだろう?

死神に対するこの親近感。。

それでいて日本語をイマイチ使いこなせてなくて微妙に世間からズレてしまっていたり、2000年前の話をさりげなく言ったりと、やはりワタシたちとは異なる世界の住人ぶりはちゃんと描かれています。

この絶妙な設定がとにかく物語の中心にある【死】を極端に重たくなりすぎないようにうまく機能しているように思えます。

敢えて人間界とは異なる視点から描くことで、ワタシたちの愚かさや滑稽さを浮き上がらせています。これが結構効果的で、読み終わった後にしんみりと心に染み渡っていくのです。

リンクの精度。

本作品に収められている6つのお話。

これらはすべて別々の話であって、全編を読み終えるとこれらの短編と短編の間には時間軸がある程度ちゃんと線が引かれていることがわかります。

 

しかしです。

しかしですよ、これが思わぬ所で繋がってたりするんです。

これがホント良く出来てるなと感動すらします。

ワタシは感動しましたよ、、これ以上書くと勢い余ってネタバレまで言ってしまいそうなのでここらへんで中断しますが。

また今作品には同じく伊坂幸太郎作品の『重力ピエロ』からある人物が登場しますよ。これまた絶妙な感じで登場してます。気になる方は是非一度手にとってみてはいかがでしょうか?

なんだろう、この完成度の高さは‥‥


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