低評価?つまらないのか?中村文則の『教団X』を読んで素直に思ったこと。

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あなたは何を信じますか?

圧倒的な筆力と情報量

過激な描写で人類の存在を問いかける問題作をついに読み終えました。

そう、あのアメトーーク!の[読書芸人]で今や芥川賞作家となる又吉さんも絶賛していた本作をやっとワタシも読み終えました。

その作品の名は

『教団X』

うぃーあー

うぃーあーえーーーくすではないです。

教団Xです。

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つまらない?低評価?中村文則『教団X』を徹底レビュー

アメトーーク!の紹介により一時期amazonのレビュー欄が荒れに荒れたとか、とりあえずテレビで絶賛されてたからと軽い気持ちで読み消化不良を起こした大量の読者による低評価の嵐が吹き荒れたとか、色々な意味で問題があった本作。

ワタシもそんなみんなが騒いでたからという「軽い気持ち」で本書を読んだのですが…

 

やられました。圧倒されました。

 

 

世間の評価なんて気にしなくて良いと思います。

ワタシはこの作品に見事にやられました。

そう、面白かったんです

たしかに突っ込みどころもあるし、作品として完成度が高いか?と言われればいくらでもケチはつけられると思います。

だけど、小説や映画は受け手が論じるものじゃないから。

面白いか?つまらないか

楽しめたか?そうじゃないか

心に響くか?否か

シンプルに受け止めれば良いんです。

では、完全なる独断的レビューを書いていきます。

あらすじ

【「アメトーーク!」読書芸人でも紹介され、大反響!】絶対的な闇、圧倒的な光。「運命」に翻弄される4人の男女、物語は、いま極限まで加速する。米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)年間ベスト10小説、アメリカ・デイヴィッド・グーディス賞を日本人で初受賞、いま世界で注目を集める作家の、待望の最新作! 謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。 ついに電子版配信開始!Amazonより引用

全576ページに及ぶ超大作。

宗教、科学、政治、性‥

人が人として産まれ、死んでいく摂理。

何かを「信じる」ことで意味を求める人間。

いやーこの終始情報過多な状態

嫌いじゃないんです。

むしろ大好きなんです。

初めてエヴァンゲリオンを見た時の衝撃を、再び思い出させる展開に、ワタシは一人悦入っていたわけで。

『教団X』 を読んで。正直にどう思ったかを伝えよう。

先程も言いましたがとにかく情報量が半端ないです。ここで好き嫌いがハッキリ分かれるんじゃないかなと思います。

情報っていうか知識。

知識っていうかうんちく。

そうこれはとにかくとんでもないうんちくによって語られる物語です。人がそもそも物質に過ぎないとか、量子論みたいなものから神を語り、人間らしさや内在性みたいなものを表現するためにこれでもかと露骨に性描写を描き、政治、経済までカバーする語り手のマシンガンうんちく。

そして出てくるキャラクターたちがうんちくを語る語る。。

必死に自分たちの物語を紡ぐように。

我々がなぜ生きているのか。その理由を今から私なりに述べましょう。それは、物語を生むためです。〈中略〉我々は物語を発生させるために生きている。 教祖の奇妙な話(ラスト)より引用

確かにストーリーそのものにドラマ的要素は少ないのかもしれません。2つの異なる宗教団体に翻弄される男女の物語があるにはあるんですが、とにかくみんなよく喋る。

饒舌過ぎて全然話が進んでってないように感じます。

物語は一方向に進んでいるのに一つのアングルしかないので、結局端折られた感は否めません。

とにかくよく喋る。

教祖の奇妙な話もそうだし、カリスマ沢渡の過去も高原の過去も‥

とにかくまあ良く語るわけです。

こういう語り口調が苦手でなければ問題はないと思いますが、物語のスピード感はやっぱり物足りないかな?と思ってしまいますね。後半のテロ決行シーンにおいても演説パートがあり、結局ラストに向かってのカタルシス、疾走感は‥ちょっと感じられないですね。

もったいない。

とは言え

ほんとにこのうんちくには圧倒されます。

神だの悪魔だのを科学的切り口で語り、物語を発生させるために人は存在するというロマンチックで文学的な表現、そして過剰な性描写でもう読み終えた頃には脳内がヘロヘロになってます。

 

でぃすけのつぶやき

最近はAmazonタブレットでの読書が習慣化してきた中で、久しぶりに文庫本を読破しました。

いやーやっぱり読書はこうして本をしっかり持って読むほうが良いなって。

‥いやいやとにかくこの小説は面白かったです。

これくらい過剰に語ることでしか表現できない世界観っていうのがギリギリな感じがして好きです。そしてその世界に、人は自らの意思で入っていくんだなって否応なしに突きつけられます。※作中何度も「引き返せるポイント」が出てくるんですね。でも結局みんな自ら進んでしまう。

そういう描写があるなら、もう少し登場人物たちのキャラ造形が出来てたら良かったとは思いますが。。

自分がどう感じるか?Amazonのレビューに左右されずに自らの感性をフルに使って味わってもらいたいと思います。

 

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