想像力の限界を求めて

読まずに死ねるか!『ザ・ワールド・イズ・マイン』という漫画界最強の黙示録。

ワールドイズマインという最強の漫画/disk

死ぬまで読んでおきたい漫画

今回ワタシが紹介するのが超ド級のウルトラバイオレンス群像物語『ザ・ワールド・イズ・マイン』です。

死ぬまでに是非一度読んで欲しい漫画です。

 

かつて本気で漫画家になりたいと思っていた時期がありました。小さい頃から絵を描くのが好きで、外で遊ぶことよりも絵を描いていることか好きでした。

真剣に音楽にハマる直前まで漫画は読み漁っていました。

そして当時高校生だったワタシの魂を大きく揺さぶることになる今作『ザ・ワールド・イズ・マイン』という作品と出会ったのです。

 

 

ワールドイズマインという最強の漫画/disk

圧倒的なまでの死、あるいは生。

まずは簡単にこの作品の外堀から語らせていただきたいと思います。

作者は新井英樹氏。『宮本から君へ』、『愛しのアイリーン』といった代表作でご存知の方もいるかと思います。

とにかく氏の描く熱量は凄まじいものがあります。

人体、街、風景をこれでもかと描き尽くすスタイルは好き嫌いが分かれるところかもしれません。ワタシは勿論大好きですが。

そして今作はヤングサンデーで連載をスタートするものの雑誌が廃刊に。。単行本として小学館から販売されるも絶版に。そしてまた新たに加筆・修正した『真説・ザ・ワールド・イズ・マイン』として分厚い愛蔵版のような形で再販されました。

ワタシは真説の方はまだ全部読んでいなくて、タイムリーに集めていた小学館の単行本バージョンをひたすら読み耽ってきました。(そう何度も読み返せるドラマでもないのですが…それは後で述べます)

かつて新井英樹氏のインタビューを読んだことがあって、何万枚もの資料を集め世界を描ききるというこの莫大なエネルギーに感服致しました…恐れ入ります。

まさに『AKIRA』の大友克洋氏以来の畏怖の念を抱きました。

あらすじ

東京都内各所で消火器爆弾を設置するモンちゃんトシの二人組(通称トシモン)は、これといった理由もなく北海道を目指す。その道中、青森県で成り行きから連続爆破、警察署襲撃、殺人代行といった日本全土を震撼させる無差別殺戮を開始する。それは内閣総理大臣までも舞台へと引きずり出す大きな勢いとなる。時期を同じくして、北海道から津軽海峡を渡ったといわれる謎の巨大生物「ヒグマドン」が出現し、次々に人々を惨殺して東北を南下していった。「鉄人」とも呼ばれる熊撃ちの老人と、新聞記者がそれを追いかける。そして遂に3つの点が秋田県大館市で遭遇する。ここで初めてヒグマドンの全貌が明かされ、物語はアメリカ大統領すら巻き込む全世界レベルで進行していく。ウィキペディアより引用ー

創造に至るまでの殺戮と破壊が凄まじい本作の見どころ。

トシモンの暴力、ヒグマドンのパワー

この物語はとにかく「破壊」。賛否両論あったあのラストが唯一「創造」だと捉えれば破壊と創造という人類が抱えてきた原初的なテーマなのですが…とにかくそこまでの破壊が凄まじい。

破壊・殺戮のオンパレード。

映画『ナチュラルボーンキラーズ』があえて詩的描写に徹底することで成立させたキラーロードムービーだったとしたらその対極。

モンちゃんの溢れんばかりの欲望エネルギーを発散しながら徹底的にリアルな描写で彼らのロードムービーは進行します。ちょっときつい描写も多いです。。

食欲、性欲の赴くままただひたすら暴力的に突き進むトシモンたち。

そしてこの物語のもう1つの核である巨大熊・ヒグマドン。

まさに人知を超えたパワーを秘めたまま人類に対し襲いかかります。

トシモンたちの人間の本能の力とヒグマドンのどうしようもないパワー、この2つが交差する時におこるカタルシスは必見です。

ディザスタームービーとしてのヒグマドン

個人的にこのヒグマドン登場の引っ張り方がすごい好き。

全体像がなかなか見えないヒグマドン。

足跡や巨大な糞、そして糞のながらから人間の一部、など細かい演出が余計に興味を掻き立てられます。

そしてあの街で大暴れのシーン。

ヤバい。

ワールドイズマインという最高の漫画/disk

人間の理性の限界、その先にある狂気

人間による本能むき出しの暴力と神の如く強烈なパワー、この2つの力比べが物語の魅力ですがこの作品をさらに深く昇華させているのが濃いキャラクターたち。何せ登場するキャラみんな標準語使わないしね‥

人間1人に対してここまで描ききる漫画があったでしょうか?

 

力に憧れモンというカリスマ性に魅了され、やがて自らが持て余すほどの狂気を抱く殺人鬼へと変貌する孤独でオタクな青年だったトシ。

傲慢過ぎるほどの優しさを持って自らの待ち受ける過酷な運命に抗えなかった女子高生・マリア。

生命の仕組みを理解し、自分の使命を果たすためヒグマドン狩りに挑む老人漁師・飯島。

大人しそうに見えて心の中の罵詈雑言を手帳に書き殴る記者・星野は熊狩り名人の飯島に密着しながら自分の生命を再認識、やがてベールに包まれたモン出生の謎に迫ることになる。

正義とは何か?人命の重さとは何か?トシモンたちとの交戦で部下を人質に取られ殺害され、永遠に消えない十字架を背負うこととなった青森県警・塩見。

 

…まだまだ濃いキャラクターたちがでてきます。もうここでの紹介を読むくらいなら是非作中で彼らたちと対峙して欲しいですね。

そしてワタシはやはりこの作品の危う過ぎる中心人物・トシの存在にたまらなくヤられてしまいました。

ひ弱でオタクな青年を待ち受ける修羅の道

職場では目立たなく、趣味のパソコンと持ち前のオタク魂で手製爆弾作りに勤しむ青年だったトシがある日野生児のような凶暴な男・モンと出会うことで「力」に対して抱いていた憧れを抑え込めなくなってしまいます。

この瞬間、トシの自制心が力への憧れを断ち切れていたら、彼はその先に待つ過酷な修羅の道を歩む必要はなかったのですが…

とにかく最初のトシは見るからにひ弱な感じでお母さん似の優しそうな青年です。

しかし物語が進むにつれて彼の目つき、表情は鬼のように歪んでいきます。

そしてトシを完全なる鬼へと変貌させることになった母の自殺…

加害者の母、ということでマスコミに追い込みかけられ憔悴し精神を破綻させ入院先で身を投げた母。

このシーンはあまりに重い…何回読んでも泣けてきます。。

これを契機にトシは「殺人代行」と称しマスコミ、メディアを大きく巻き込むことに成功し、物語には一般人の匿名による無自覚に加担する力という第三のパワーが加わることになります。

世界は誰のものか?命は平等に価値がない。

この物語は本当に深くワタシの心をえぐったままでいます。

使うことで真の意味がある「力」、原始的な生殺与奪。

そしてメディアという現代特有の力。連載当時は今のSNSやテロ、大震災は勿論なかったのですが妙に納得できるほどのリアリティがあります。今も連載中だったら更に凄い進化を遂げていたかもしれませんね。

全ての力の裏には想像力が必要だということ。

途中モンは「痛み」に対する想像力を与えられます。

傷つけることに対する痛みを想像することが出来るようになったことで、暴力が使えなくなってしまうモンちゃん。しかしここで力を優しさで抑えようと女子高生マリアが現れます。皮肉にも彼女がトリガーとなりここからモンの力はさらなる進化を遂げていくことになります。

トシは次第に保身のために殺人を重ねていき、どんどん神格化していくモンとのコントラストが激しくなっていきます。

力を得たと勘違いをした哀れなトシ…

必読です。


この物語の最後は本当に賛否両論ありますが、ワタシの個人的な感想を述べれば

やはりちょっと物足りない。

ここまで徹底的に人体も街も風景も破壊し尽くしてきた一大叙事詩の幕を閉じるのには、やはり圧倒的で物理的なパワーを見せつけて欲しかったと思います。

何もあそこまで神話化しなくても良かったと。

とことんリアルに破壊し尽くして、それで何も残らなかった‥でも良かったような。。

最後に実写化するならこのキャスト!勝手に脳内再生。

実写化するならこの2人/disk

あの名監督・深作欣二氏がこの作品を映像化したいと望んだという逸話は有名ですが

ワタシも勝手に脳内再生しておりました。

モンを演じて欲しいのは若手実力派俳優・柳楽優弥さん。最近では『ゆとりですがなにか』でも良い演技してましたよね。そしてかなりタイムリーな話題ですが、映画公開されたばかり『ディストラクション・ベイビーズ』ではまさに本作モンさながらの大暴れをしているという‥

作者新井英樹氏本人が、「トシとモンが本当にいるようだった」と言わせているだけにこちらの映画も気になります。

『ディストラクション・ベイビーズ』新井英樹も絶賛

そしてこの物語の要・トシを演じて欲しいのは横山裕さん。あのジャニーズからの配役です。

優しさがにじみ出てる冒頭から鬼の形相までの変化、きっとトシの狂気を体現してくれるであろうルックス。ワタシの中ではけっこう良いトシを演じてくれると思っています。

 

ちょっと長くなりましたが、以上ワタシ的読まずに死ねるか!な漫画の紹介でした。

未読の方は是非読んでみて下さい。

漫画とは思えない衝撃を喰らうはずです。



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