《ネタバレ注意》日本の安全問題に危機感?!『ゼロの迎撃』を読んで。

2016-07-11

仮想敵国家、派手に攻めてきます。

現在の世界情勢はけっこう際どいバランスの上に成り立っています。少なくともちょっと前まではアメリカという世界警察が幅を利かせていたのですが、最近お疲れのようで。

この微妙なバランスをさらに揺り動かしてくる存在っていうのがやっぱりあるわけで。

日本という国は、果たして自分の身を守ることが出来るのでしょうか?

『ゼロの迎撃』を読んで/disk

ハラハラドキドキ…東京がテロの標的に⁉︎その時日本はどうなるの?『ゼロの迎撃』を読んで

以前読んだ『生存者ゼロ』と同じ作者、果たして今回もワタシを興奮させてくれるのか?

仮想敵国家として北朝鮮が攻めてくる物語というのは過去にもたくさんあります。

麻生幾の『戦線布告』や村上龍の『半島を出よ』なんかは有名ですよね。

ワタシは特に『半島を出よ』は大好きな作品です。

さて、今回も再び攻めてきます、北朝鮮。

映画化するならこのキャスト『生存者ゼロ』を読んで disk-survivor

あらすじ

活発化した梅雨前線の影響で大雨が続く東京を、突如謎のテロ組織が攻撃する。明確な他国からの侵略と断定できないなか、政府は警察権で制圧を図るが、多数の死傷者を出す。首相はついに、自衛隊の出動を決断。しかし、精鋭部隊の第1空挺団が敵の策謀にはまり、壊滅状態に―。緊急事態に、敵の正体を追う自衛隊総合情報部所属の情報官・真下は、敵が核を持ち込んでいる情報もつかみ、奔走するが…。


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日本という国は自分たちのことをどう守るのか?

日々の暮らしの中でつい忘れてしまいがちなことですが、こうして毎日平和に暮らしていけるってすごい幸せなことなんですよね。

実際日本は他国から攻撃、侵略を想定した訓練やシミュレーションを重ね水際で今のワタシたちの平和を守ってくれています。

前作『生存者ゼロ』でも日本という国の危機を国の政治家や法律がどんどん障害となっていき、自らの首を絞めていく姿にヒヤヒヤし半ば呆れ、そしてすごい不安になりましたが…今作でも今の日本の致命的な弱点を露呈させてくれます。

日本、、守れるのか…⁈

それは先ほど触れましたが、現在の他国やテロの脅威は全て水際対策として練られていて、いざ国内で攻撃やテロが発生した場合どうやって追い出すのかという具体的な策が講じられていないということです。

勿論国内で発生する場合も想定はしているのでしょうが法整備という面では到底まだまだ充分とは言えません。

例えばオフィス街でテロと交戦することになるも日本の警察じゃ歯が立たない、じゃあ自衛隊の出番となりそうなものですが、ビルや民家の補償を誰がやるのか?交戦によって破損した場合の責任の所在が明確でない限り自衛隊は出動できないそうです。。

んーなんとまあ……

そういう今の日本を取り巻く環境とかも意識して読むとより一層楽しめでしょう。

『ゼロの迎撃』を読んで2/disk

見どころポイント

主人公・真下はエリート情報分析官。その頭脳と能力により常に激務に追われてきましたが、妻の重病が発覚、情状により転勤も決まり明日はその妻がいよいよ手術という時に官邸から呼び出し…ここから真下の受難が始まります。

ポイント1 主人公の受難

奇襲に近い形であれよあれよと責任を負わされ、冷静さを欠いたまま出した指示によって大勢の同僚たちを死に追いやってしまう真下。

無責任な上司たちからの無茶ぶり

行く手をことごとく阻む法律…

気持ちの整理なんてこと言ってられないくらいの短期決戦。情報を集め、洗い、何とか敵の正体が掴めてきた頃には大打撃を受け自衛隊員たちのまさかの出陣拒否まで、、真下の受難は重い。

ポイント2 好敵手の存在

そんな真下を翻弄しまくる敵将軍・ハン。

冷酷ながら徹底した軍隊作りで日本の首都東京を壊滅寸前まで追い込みます。

そんな彼にも受難はあって、祖国に残してきた家族。

ありきたりだけど、家族ってやはりどんな人にもモチベーションになるという良い例です。

ただどんどんやる気出しちゃって東京はズタボロに…

ポイント3 圧倒的リアリティ

例えばオフィス街で自衛隊がすぐに交戦できない理由や、まさかの出陣拒否まで知らなかったこと満載。

さらに第1次攻撃を受けてからの日本国の出方とか、かなりリアルな感じがします。特に大型台風という災害と重なることでどんどんパニックに陥る姿はすごいです。

不謹慎ですが、このリアルな感じがかなり面白くこの興奮は初めて劇場版『パトレイバー』以来。

※押井守さんキレッキレのパトレイバー2 the movie。小さい頃この作品を見て軍事物に傾倒することになりました。押井守=神と崇めていた時期もありました。余談ですが。

ポイント4 絶妙なキャラクター

次から次へと重くのしかかるプレッシャーにも負けない強靭な男・真下とその部下たちのキャラクターが良い。

退役間近ながら真下の心の支えとなる寺沢。

優れた情報分析能力を持つも実戦が怖くてイマイチ自分を出せない岐部。

もはや殺人マシーンのように訓練を受けた高城。

引き金を引く直前の聖書の引用はあまりにプライベートライアンのジャクソン二等兵。

インディペンデント・デイさながらの演説で全自衛隊員の胸を熱くし、ワタシの涙を誘う梶塚首相の名シーン

そして好敵手ハン。

などなど魅力的なキャラクターが良いですね。

あとがき

前作『生存者ゼロ』は前半の異様な盛り上がりと後半のB級映画バリバリな展開で度肝をぬかれましたが、今作はある意味落ち着いてます。(トンデモない展開はないということで…)

相変わらず自衛隊や警察などの描写はリアルだし、鈍重な政府(上司)って構図も活きてます。

危機意識や日本の安全保障の問題など、考えさせられる内容で、なかなかボリュームはありましたが一気に読める面白さが何より。

是非一度読む価値はあるでしょう。

…しかし何故前作と絡めたタイトルにしたのでしょう??「ゼロ」を名乗る必要性はあったのか‥??

 


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