10 年前にコロナを予言したパンデミック映画『コンテイジョン』
出かけるときに
幼稚園に入ったばかりの息子がこう言います。
「パパ、マスクもった?」
もはや4歳の我が子にとって外はマスクなしでは歩けない世界であり、幼稚園の行事もレジャーも地域のお祭りも存在しないのです。
中国・武漢から世界中にばらまかれたウィルスによって、我々の日常はすっかり変わってしまいました。
五輪開催か否か?みたいな話でメディアは騒いでいますが
新しい生活様式を余儀なくされたまま2年目に入った我々の日常生活は、根底からリアルに変化したのです。
まさかこんなことになろうとは思ってもみませんでした。
そんな中このコロナ騒動が始まる10年も前に
今のこの状況を予見していると話題になった映画が存在したのです。「まさに現実そのもの…」「完全にシンクロしている…」なんてレビューが吹き荒れた映画が。
今日は久しぶりに映画レビューをしようと思います。
恐怖はウィルスよりも早く感染する。
そう、コンテイジョンです。
コロナ騒動を10年も前に予見した映画『コンテイジョン』の感想
コロナがまさに猛威を振るいだした昨年、この騒動を予見していたんじゃないかって話題になった映画があります。作品の公開は2011年だったのですが、皮肉なもので人気が再燃。一時期Netflixジャパンの映画ランキングでも第1位に躍り出るほどの人気っぷり。
ワタシも観よう観ようと思っていたのですが最近Amazonプライムでも解禁され、ようやく鑑賞。
いやはやこれがすごい衝撃だったもので、こうしてレビューしようと思ったわけです。
何がすごいってそのリアリティ。今現在この光景を見て作ったの?っていうくらいリアルな描写の数々。
一拡大する被害、ロックダウン
そして噂が元になって巻き起こる暴動、パニック…こりゃ騒ぐわけです。
あらすじ
「トラフィック」「オーシャンズ11」のスティーブン・ソダーバーグ監督が、マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレットら豪華キャストを迎え、地球規模で新種のウイルスが感染拡大していく恐怖を描いたサスペンス大作。接触感染により数日で命を落とすという強力な新種ウイルスが香港で発生。感染は瞬く間に世界中に拡大していく。見えないウイルスの脅威に人々はパニックに襲われ、その恐怖の中で生き残るための道を探っていく。
今だからこそしっかり見て欲しい。『コンテイジョン』の面白さと怖さ。
この作品がコロナ禍の今改めて評価をされている理由は先に述べたとおり
その圧倒的なリアリティが挙げられます。
パンデミックが広がる様子がとにかくリアルなんです。最初はただの「咳」の音。
グウィネス・パルトロウが咳込みながら電話をするシーンから始まるのですが、そこからあれよあれよと世界中がパニックに陥るまでの過程が本当にリアル。
子供の学校が閉鎖、デマに惑わされ略奪行為に走る民衆、買い占め、ロックダウン…
目に見えないウィルスによってあっという間に壊されていく日常が、そこには淡々と描かれていくのです。
そう、これはワタシたちがリアルに味わってきたこの1年間の話にあまりにシンクロしているではありませんか。
淡々と壊れていく世界を見つめる視点、なんとか世界を救おうと悪戦苦闘する者たちの視点、扇動する者の視点…
おそらく今回のコロナウィルスの蔓延の過程においても、こうしたドラマがあったのではと容易に想像がつきます。
これが2011年に公開されていただなんて、ただただ不気味です。(日本公開は2012年)
見えない恐怖を可視化する。本作『コンテイジョン』が描き出した本当の恐怖
スリリングかつリアリティある展開が最後まで高い緊張感を見るものに与えるのですが、特に本作の見どころとして紹介したいのは『視点』
冒頭からこれでもかとクローズアップのショットが続きます。
既にワタシたちはコロナ時代を体験しているからこそ、これがとにかく恐ろしく思えます。
普段何気なく触れるモノ、そしてそれを媒介し伝染していく様子が描かれます。
そしてたまたま近くにいたから、偶然の接点がウィルスを運んでしまう様子を目の当たりにすることになります。
「人は1日に2〜3000回顔を触る」
感染症に対して丁寧に説明されるシーンがまた我々の緊張感を煽ります。目に見えないウィルスの猛威を様々な視点で切り取り浮かび上がらせるのです。
やがてウィルスよりも怖いものが現れます。
そう、暴徒と化した人間です。
デマに踊らされ買い占めに走る人間たち。
パニックに陥り暴徒と化した人間の姿に、我々はもう一度恐怖することになるのです。
物語は唐突に発端となったある一日を映し出します。
そこには日頃から簡単に起こり得るよう些細な偶然が映っています。
このパンデミックの正体が都市伝説や噂話にあるような、細菌兵器だったり某国の陰謀論だったり、そんな悪者がいてくれたらどんなに良かったか。どんなに分かりやすかったか。納得できたであろうか。
ただの偶然。
これほど恐ろしいことはないと思います。
この世界で生きている、ということ自体がとても脆く儚いものなのだと思い知らされました。
ワタシたちの世界ではワクチンができました、めでたしめでたしとはいかないようで
ウィルスの変異、医療現場の崩壊、政治の不信…
パンデミックが暴いてしまった新しい世界の形を直視していかなければなりません。
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