スタイリッシュに生まれ変わった『ロボコップ』(2014)リメイクは失敗か?

robocop1本/映画/感想

 

世の中には奇才と呼ばれる人たちがいて、そんな中でも本当に「やばい奇才」がたしかに存在します。

ワタシの中ではポール・バーホーベン監督もその1人です。

そんな彼の代表作『ロボコップ』が2014年にリメイクされていました。

あの名作SFサイバーパンクに挑むなんてなんて無謀な…

そう思いながら鑑賞してみました。

さて、その結果は…?

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スタイリッシュに生まれ変わって『ロボコップ』は何を伝えたかったのか?

トラウマに残っている映画、シーンって人それぞれあると思いますが、ワタシは『ロボコップ』のマーフィー刑事の惨殺シーンは上位に食い込んでいます。

小さい頃にあんなシーンを見ちゃったから今も残酷な映画や小説などを追い求めるようになってしまったのか…とにかく奇才ポール・バーホーベン監督の罪深きこと。。

そんな良い意味でも悪い意味でもワタシにとって記憶に残っている『ロボコップ』がリメイクされていました。

オリジナル版も続編『ロボコップ3』でまぁなんとも散々な結果となりジリ貧状態で幕を閉じていましたが、今だに初代『ロボコップ』は評価が高い作品です。

早速ドキドキドキドキしながら鑑賞。

新たなトラウマを作ってくれるのか?と

あらすじ

2028年、アメリカのデトロイト。巨大企業オムニコープ社がロボットテクノロジーを牛耳っていた。警官のアレックス(ジョエル・キナマン)は愛する家族と幸せな日々を過ごしていたが、ある日、車の爆破に巻き込まれる。かろうじて命を取り留めたアレックスは、オムニコープ社の最先端のテクノロジーによってロボコップとして生まれ変わり……。

シネマトゥデイ 

 

物語の大筋の変更点はなさそうですが、、どうでしょうか?

無駄にスタイリッシュ!名作がリメイクによって失った物。

まず先に言っておきます。

オリジナル版で充満してた「グロ」「ユーモア」は消え失せています。ポール・バーホーベン監督への敬意をもう少し持っていても良いような気がしましたが、調べてみると企画段階から製作者側と我々ファンの間で目指している景色が違っていたようです。

なんでも当初はダーレン・アロノフスキー監督がメガホンを取る予定だったようで…(今よりもさらに暗くシリアスな作品になっていたかもしれません。)とにかく最初からオリジナル版が持っていた社会風刺やグロ描写よりも、ストーリーのシリアスさを追求するつもりだったのかもしれませんね。

ではそのあたりも加味しながらワタシが今作品でリメイクをし、得たもの、失ってしまったと思うことを書いていきます。

まず失ってしまったものとして先に挙げたユーモアさやグロ描写もありますが、なんといっても大きな損失は

悪党

です。

この物語には実はとんでもない悪党が不在なんです。

汚職刑事やマフィアのボス、利益を追求する企業の代表…と敵は登場しますがオリジナル版で観客のトラウマを量産したような悪党は出て来ません。

これは非常に惜しいですね。

そもそも機械の身体を手にし悪を成敗する。言わば復讐劇にも似た悪党退治にスカッとするという図式があるからこそ、過剰なグロ描写も不謹慎とも取れるユーモアさも許容されたシリーズだというのに悪党の悪っぷりがいまいち描ききれてないんです。

だからマーフィーの活躍を見てもスカッとはしません。

いや、、カッコいい映像なんだけどさって。

アイデンティティを取り戻すドラマがない

オリジナルにおいて、マーフィーは肉体のほとんどを破壊され記憶すら持たずにロボコップとして復活します。

しかし同僚たちとの触れ合いや(意外と丁寧な)伏線とかが彼をマーフィーとして再び復活するというこれまたスカッとな展開がありました。

しかし今作では最初から記憶を持って復活してしまいます。

だから復讐するときのカタルシスもそんなになくあっさりと敵を倒してしまいます。

じゃあ逆に得たものはあるのだろうか?

ワタシが思うに、いやこれは誰もが思うことだと思いますが

とにかくスタイリッシュになってます。

あの鈍そうな、重厚感は薄れてかなりソリッドな印象に生まれ変わったロボコップ。

しかも全体的に黒くなり、目の部分だけを赤く光らせるなんていうクールなビジュアル仕様。どことなくバットマンを意識させてくれますが‥

かつてあの足音だけでもこりゃだいぶ動きは鈍いだろうなと思いましたが、、リメイク版はかなり洗練されてますね。

そしてこのスタイリッシュさがもたらしたもの

それが、スピード感です。

とにかく素早く反応し、超人的な動きをします。またバイクを乗り回し移動の時の「重たさ」を感じなくなっています。この「重たさ」ってのは意外と重要で、ワタシにとってはこれがちょっと物足りない要因でもありました。

やっぱ機械なんですよ、重たいはずなんですよ。

あれがアスリートなみに飛び跳ねたり走り回ったりする姿は確かにカッコイイんですけど説得力に欠けます。

でももう一度言います。

かなりカッコいいです。

特に後半のロボバトルは見る価値あると思います。

脇役が豪華

これはオリジナル版を凌ぐとこだと思いますが、ロボコップの生みの親の博士にゲイリーオールドマン、オムニ社の代表にはマイケルキートン、そして何やら怪しいテレビの司会者にはサミュエルLジャクソン。

このキャスト陣は安定感ありますね。特にゲイリー・オールドマンとマイケルキートンのキャスティングは『バットマン』を意識せざるを得ない状況でこのあたりもやはりこのロボコップは新しいヒーロー像としてあのダークヒーローを目指していたのかもしれませんね。

でぃすけのつぶやき

肉体を失っても記憶がある限りアイデンティティは保たれる。この人気シリーズがただの痛快成敗物語として落ちぶれない理由にはこういう深い再生のドラマがちゃんと軸として存在しているからだと思っています。

今回はどちらかというと意外と深いテーマを独特のユーモアで包むのではなく、あくまでもスタイリッシュにパッケージングすることに徹した作品なのかな?

ただオリジナル版よりも家族との繋がりを重視してたり、ロボコップ製作段階を丁寧に描いていたりして(まさかのメイドインチャイナでしたが‥)新しい一面を打ち出しています。

映像としてはかなりスタイリッシュに仕上がっていますが‥‥ワタシ的にはもう少しオリジナルにあった重たさを感じられても良かったかな?

ボディもテーマも。

 

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