名作映画『そして父になる』が意外と泣けない理由。
すごい映画だったな。。
これ、自分だったらどうするんだろう?
全ての父親に考えて欲しい
全ての母親に感じて欲しい
日本映画ならではの静かで重たい作品『そして父になる』を観ました。絶賛された作品だけに号泣覚悟で鑑賞したのですが…あれれ?
泣けなかった…な。
『そして父になる』は全ての父親に対して静かに語りかける作品でした。《ネタバレ注意》
ずいぶん前のことですが、ワイドショーを賑わせた【実は自分の子供じゃなかった問題】。なんでもある芸能人が長年育ててきた子供に対してDNA検査をした結果、血が繋がってなかったことが判明し大きな話題となりました。
ワタシは相手が芸能人だったことや、その子供がもうちゃんと自分で考えられる年頃と知りあまり深くは考えませんでしたが、今まで一緒に暮らしてきて血が繋がってないからと分かったらじゃあさよならはできないよな、とぼんやりと思ったものです、
でも、この映画を観て
深く考えさせられることになりました。
自分ならどうする?
純粋な子供の目線が、まるで銃口のように自分を狙っているような感覚です。
本気で父になるのか?と。
『そして父になる』あらすじ
学歴、仕事、家庭。自分の能力で全てを手にいれ、自分は人生の勝ち組だと信じて疑っていなかった良多。
ある日病院からの連絡で、6年間育てた息子は病院内で取り違えられた他人の夫婦の子供だったことが判明する。
血か、愛した時間か―突き付けられる究極の選択を迫られる二つの家族。
今この時代に、愛、絆、家族とは何かを問う、感動のドラマ。
これは父親による父親のための映画。しかし…
鑑賞後、しばらく呆然としてしまいました。
いつもなら爽快感というか、充実感のようなものでしばらくぼんやりすることができるのですがこの作品は終始「自分ならどうする?」という問いが頭の中を渦巻いていて、鑑賞後もその問いが残響のように鳴り続けているので他の感想が浮かびませんでした。
しばし呆然。。
いや、ほんとに静かに、でも確実に突き詰められていく感じがすごい。
物語は序盤から自分の子供が取り違えにより実は他人の子供だと判明し、2つの家族がその数奇な運命に翻弄されていきます。
子供たち本人は戸惑い、母は涙を流します。
そのとき父親は?
『そして父になる』が泣けなかった理由。
孤独な父親。
この映画でワタシが感じたことはまさに【孤独なる父親】でした。
ワタシもこの年頃の子どもがおり、ヒリヒリとした感情を常に持ちながらこの映画の中の父親たちを見ていました。
果たして血を取るのか?それともこれまでの時間を取るのか?
主人公である野々宮(福山)は孤独に苦悩します。
そもそもなんで最初に気づかないんだという妻に対して憤り、同じ年頃の子に比べて意欲に欠ける息子に対する葛藤。
この作品に出てくるキャラクターたちはみんな苦悩するのだけれど、特に主人公は孤独に苦悩するのです。
しかし、なんというかこの主人公野々宮がちょっと浮世離れし過ぎ…と言いますかなんだろう?父親たちの感情移入を一手に受け止めるべき存在がその役目を果たす気がない、感じです。
野々宮がクール過ぎる
いや、言い直そう
福山がかっこよすぎる。。
エリートサラリーマンで高層マンションに住んでいる勝ち組の主人公。そこへ突然実の子供ではなかったという問題が発生。
確かに苦悩するのですが、仕事のトラブルとさほど変わらないテンション。
さらりと上司に相談したり、困ったら自分の両親の意見を頼ったりするのですがこのあたりも所作が美し過ぎる。。
これ福山雅治さん効果は諸刃の剣ですね。
つまりこの主人公が孤独に苦悩することも、単にヒロイックな姿勢の1つでしかないように見えるのですが…
これが、この作品が意外に泣けなかった理由だと思います。
超演技派・堺雅人さんが野々宮を演じてたら多分号泣してた気がする…
でぃすけのつぶやき
福山雅治が本当のお父さんだったらなーっていう意見が多々出てくるのはこれもうどうしようもないですね。
だってかっこいいもん。
「ちょっといいかな」
箸の持ち方を注意するのもダンディでかっこ良すぎです。我が家ではしつこいくらい箸の持ち方を注意する【ハシオヤジ】なる妖怪めいたものが出現しますもん。
…物語自体はほんとに考えさせられました。
脇を固め演者たちも素晴らしい仕上がり。特に子供たちの絶妙な表情なんかは心に迫るものがあります。
大人の都合だけでどんどん進んでいく物語
しかし後半、子供たちの想いが重要なキーになります。
子供あっての親です。
子供たちの想いが父へとなせるのか。
決して1人よがりの判断では父にはなれませんからね。
最後に
孤独な父親たちにピッタリな孤独なアリア。BGMにグレングールドを持ってくるのは良かったです。
しかしかっこいい父だったなー福山雅治。
![]() |
新品価格 |