『三億円事件』の真相に迫る渾身の一冊。【ネタバレなし】
三億円事件の謎を追え
以前三億円事件を題材にした作品たちをまとめたことがありましたが、その中の1つでワタシがもっとも楽しめた渾身のノンフィクションをご紹介します。
『三億円事件』
改めてこの事件の深さというか、言葉は悪いですがロマンのようなものを感じます。
その鮮やかな手口や
実際の被害者がいないこと
あれだけの総力を挙げた警察から逃げ切ったこと
そういった色々な要素がドラマチックで、未だにワタシの好奇心を刺激し続けてくれますな。
『三億円事件』 一橋文哉 著が真相に迫りまくっててかなり興味深いのでオススメ。
1968年12月10日「三億円事件」発生。多くの謎を残し、7年後に時効が成立。それから約20年、一枚の焼け焦げた500円札が一人の男を動かした。執念の取材が明らかにする捜査本部の混乱、モンタージュ写真の欺瞞、浮かび上がる三人の男……。やがて突き止めた「真犯人」はアメリカにいた! 6時間にも及んだ手に汗握る「対決」。正体は? 動機は? そして三億円の行方は? 文庫化にあたり衝撃の後日談を収録。Amazonより引用。
事件発生
この本を読むと今までざっくりとしか見えてなかった事件の流れがかなり分かります。
たくさんの証言や、逸話や捜査の裏話なども言及されていて、それまで大まかな事件の流れしか知らなかったワタシは非常に歓喜しました。
事件当日までに布石として脅迫事件が起きていたことや、当時の時代背景があったからこそあのような鮮やかな手口で現金を強奪することができたのだという説得力のある説明。
そして何と言ってもインパクトのある冒頭の物証の話。まるで映画の始まりのようで、読み出して五分でこの本にどっぷり浸かってしまいました。
警察の捜査ミス?
この事件は結局犯人も逮捕されず、真相も分からず時効を迎えています。
この事件が未解決という状態がまたこの物語をより一層好奇心をかき立ててくれるんですけど、問題はやっぱり
どうして解決できなかった?
ということでしょうか。
遺留品の多さや解決に向けての大規模捜査。
一時はスピード解決か?なんて言われたりもしたらしいのですが実際は未解決のまま時効を迎えています。
この本ではこの「捜査に問題がなかったのか?」という切り口で迫る章がありすごい興味深いものがあります。
新たな証拠
そして何と言ってもこの本の最大の目玉。
新たな物証として三億円事件で盗まれたとされる紙幣が登場します。
ドラマチックですね~
この新証拠を軸にしてどんどん真相を追求していきます。
そして事件の真相を知っているであろう人物への突撃取材。長時間に及ぶインタビューはかなりの攻防戦となり真実まであと一歩というとこまで‥
あとがき
一般的に非常に知名度の高いこの三億円事件ですが、実はそのイメージが強くあり過ぎて全貌が霞んでしまっている人も多いと思います。
昭和の名刑事が実は捜査を混乱させてしまっていた…とか、容疑者の1人が謎の自殺をしているだとか、、在日米軍基地の存在だとか…実は事件の共通点が多かった一番怪しい川越を捜査してなかったとか…
細かい話はなかなか表面に出てこないものですが、やはりこういう小さなディテールが積み重なっているのだと思い出させてくれます。
こうした事件の裏側に埋もれた小話だけでも読む価値あります。
読み終えた時に、無性に誰かに事件の話をしたくなる
そんな知的好奇心に満ち溢れた一冊です。
ちなみに巻末にこの本がドラマ化された際に犯人を演じたビートたけしが感想を書いているんですが、
これが面白い。
やっぱりこの人はすごいなーって
全部持ってっちゃうんだから。
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