こんがらがった鉤十字『アメリカンヒストリーX』の感想 ネタバレ注意

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こんがらがった鉤十字『アメリカンヒストリーX』

一体どこからほどいていけば良いのか?

世界はすでにどうしようもないほどにこんがらがっている…

ちょっと昔の作品になりますが、この閉塞感MAXの深い絶望と衝撃をまだ未見の方に紹介したいと思います。

実際ワタシ自身この衝撃を未だほどけずにいます。

『アメリカンヒストリーX』

『アメリカンヒストリーX』を鑑賞して。《ネタバレ注意》

アメリカという国はとても不思議な国です。

フロンティアスピリットに裏付けられた闘争心、自由という名の元に広げられる懐の深さ、自らの正義を振りかざすために罪のない人々の死体の上でも平気で踊りまくる…

…だんだんワタシの偏見も交じってきたので中断します。

が、とにかく不思議な国です。

これは特別アメリカが不思議だということではなく、自国から見た外国という存在は常に不思議なものなのです。

そういう偏見とか先入観とかを率先して払拭してきた自由の国アメリカ。

華やかな繁栄

高尚な文化

ファッション

音楽

ハリウッド

そんな美しいアメリカの表面の下には、もはや誰もほどけないほどに複雑に絡まりあった問題が渦巻いているのです。

 

あらすじ

 

白人至上主義の極右組織“ネオナチ”のメンバーとなったある兄弟の悲劇を通し、現代アメリカの暗部を衝いてゆく。共演にエドワード・ファーロング。父を黒人に殺された恨みから、白人至上主義グループのメンバーとなったデレク。やがて殺人事件で刑務所送りになった彼が出所してきた時、デレクは自分を崇拝する弟がメンバーとなっている事実を知る。Yahoo映画より引用

 

白人至上主義という考え方があります。

もちろんこれはアメリカだけの思想ではなく、どこの国にだって自国民に対する意識というのがあります。

というかこういう考え方がなければそもそもの国という形では成り立たないような気もします。

日本でも右翼、左翼と表現されますが、要するに愛国心のレベルの問題だとワタシは思います。

どっちよりの思想であれ、みんな自国を愛していると思います。当然ですよね。

しかしアメリカの場合、島国日本と違いたくさんの人種が混在し成り立っていますので愛国心と一括りにするのは非常にデリケートな問題です。

怒りはキミを幸せにしたか?家族を幸せにしたか?

父を黒人に殺された兄デレク(エドワード・ノートン)は激烈な白人至上主義へと傾倒し、しまいには車泥棒の黒人を殺してしまい服役することになります。

それを近くで見ていた弟ダニー。

彼も兄を慕って当然のごとくナチズムにどっぷりと浸かります。

憎しみの連鎖はどんどん続いていきます。

アメリカンヒストリーXの衝撃ポイント

兄デレク(エドワード・ノートン)の肉体改造

この作品、難しい問題を鋭く突き付けてくるので鑑賞後にすごい衝撃を味わうと思います。

考えても答えの出ない問題

だけど確実にそういう問題は存在しているという事実

しかし、実はワタシそれ以上に衝撃を受けたのがデレク演じるエドワード・ノートンの肉体。

え、、あのエドワード・ノートン⁈

とにかく驚きです。

ファイトクラブの時よりも数段レベル上な感じの肉体。胸にどデカく入った鉤十字にスキンヘッド。

衝撃…

恐らく映画史上初の殺人方法

そしてもう一つの衝撃ポイント

それは、映画冒頭の回想シーン。

デレクの自宅に泥棒がやってくるのですがこれを見事撃退するんです。

しかしその泥棒が黒人だったということもあり激情に駆られたデレクはその黒人に道路の縁石を咥えさせます。

そしてその頭をグシャっと踏み潰して殺します。

衝撃…

どうしようもない衝撃のラスト《ネタバレ注意》

憎しみが何も生まないということを身をもって学んだデレクは改心し、弟にも同じように幸せな生き方を導いてあげたいと思います。

過激思想のグループから弟を連れだし、新しい場所で家族幸せに暮らそうと。

そんな矢先に弟ダニーは学校で殺されてしまいます。

黒人に

人種差別問題というのはそれこそもうずっと昔から根強く張り巡らせていて、例えデレクが改心したところで差別・憎しみの連鎖はずっと続いていくのです。

どうしようもないんだと

このことを観る者に突きつけたこのラストの衝撃

まさにズドンと撃たれました。

ダニーの死体を抱き寄せるデレクの慟哭シーンが、切なさと同時にヒリヒリとした危険信号をワタシの頭の中に大音量で流しました。

せっかく改心したのに…

このどうしようもない感じは…

また怒りに駆られてしまうんじゃないか…

切なさと緊張感の合わさったラスト

まさに、衝撃…

怒りは何も生まない。あとがき

それが幸か不幸なのか分かりませんが、ワタシたち日本人にはあまり切実な問題として「人種問題」という感覚が希薄です。

ここ最近ヘイトスピーチや嫌韓、在日、反日感情というワードがメディアにも取り沙汰され普及してきたかな?という程度で、同じ国内で激しい対立というのはありません。

ケンミンショーなる番組で優しい小競り合いが起きる程度ですからね。

しかし、それがたくさんの人種から成り立つ国にとっては切実です。

その国の歴史がそのまま人種問題の歴史と言っても過言ではありません。

さらにこの作品の背景にはどうしようもない「貧富の差」という問題も孕んでいます。

それは現在進行形で世界中を蝕む問題でもあります。

広がる格差により鬱憤は下の方に溜まるばかり…

強烈な思想と過激な行動がやがてテロに。。

アメリカンヒストリーXがワタシたちに与えた切ない衝撃は、今も続いているのです。

差別、対立が続いているアメリカ

しかし黒人大統領が誕生したり、、とアメリカというのは本当にダイナミックな国です。

 



 


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