まさに鬼畜『19歳一家四人惨殺犯の告白』を読んで抱いた感情

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19歳、一家四人惨殺犯の告白を読んで‥

とにかく、読み終えて抱いた最初の感情は

怒り、でした。

世の中には楽しいことばかりでなく、悲しみや憎しみに打ちひしがれることもあります。それは時に凄惨で残酷極まりない事態となって、平和な日常を一瞬にして破壊し尽くしていきます。

それは天災だけでとは限りません。

たった1人の人間が、起こすこともあるのです。

19歳一家四人惨殺犯の告白/disk

『19歳一家四人惨殺犯の告白』を読んで沸き起こる「怒り」について。

地震や災害で家族の命を突然奪われてしまうケースがあります。これは決して他人事ではないことです。

もっと言えば交通事故である日突然愛する家族を失うかもしれないし、自分が犠牲になるかもしれません。

そのどれもが当然納得のいかない死であることに間違いはありません。納得のいく死なんてものはないのかもしれませんが、受け入れることができるかどうかという差はあると思います。

しかし今回こんなにも納得のいかない死はあるだろうかと、憤りを通り越して激しい怒りと、犠牲になった方々、そしてその遺族の方々の心情を思うと言葉にならない苦しい気分になりました。

たった1人の狂った若造が、幸せな一家を文字通り「破壊」したのです。

普段から凶悪事件物やノンフィクション物は結構読むのですが、今回ほど切なくなった事件はありません。

事件のことを知らない方、また凶悪事件にあまり関心のない方はくれぐれも注意して読んでください。

できることなら知らないまま過ごしていくのが幸せなのかもしれません。

しかしこの世界には、ある日突然凶暴過ぎる暴力が襲ってくる可能性があるのです。

その犠牲になるのが、自分や自分の家族でないとは決して言い切れないのです。

生きてる人間の心の闇はお化けや幽霊なんかよりよっぽど怖いんです。

あらすじ

92年、千葉県市川市でひと晩に一家四人が惨殺される事件が発生。現行犯で逮捕されたのは、19歳の少年だった。殺人を「鰻を捌くより簡単」と嘯くこの男は、どのようにして凶行へと走ったのか?暴力と憎悪に塗り込められた少年の生い立ち、事件までの行動と死刑確定までの道のりを、面会と書簡を通じて丹念に辿る著者。そこで見えた荒涼たる少年の心の闇とは…。人間存在の極北に迫った、衝撃の事件ノンフィクション。

「BOOK」データベースより

凶暴な人間はこうして作られる。

この作品は先述したとおり、92年千葉県の市川市でおきた凶暴犯罪のルポになります。

事件は92年3月5日に起きました。犯人である少年は少女一家の部屋に押し入り、8万円を奪った後A子の祖母(当時83歳)を絞殺。その後、帰宅したA子を監禁し、午後7時頃に帰宅したA子の母親(当時36歳)を刺殺。A子を強姦した後、午後9時頃に帰宅したA子の父親(当時42歳)を殺害、預金通帳を奪う。翌6日午前6時頃、A子の妹(当時4歳、保育園児)を刺殺。たった1日たらずの間に家族を惨殺したのです。

しかも被害女子A子には血で汚れた床を掃除させたという‥

加害者と被害者双方の取材はもちろんのこと、何故このような残虐な犯行に至ったのか?犯人の生い立ちにも迫っています。

事件当時犯人はまだ未成年(19歳)

その短い年月でどのようにモンスターは作られたのでしょうか?

この本では前半に犯人に関する情報を細かく順を追って説明していきます。

そして残酷な事件の内容も明らかにされていきます。

犯人が逮捕され収監されてから、このルポを手がけた著者は何度も足を運びこのモンスターの心の闇に迫ります。

不遇の連続。

歪みっぱなしの少年時代。

犯人が語ったのは自分がいかに恵まれなかったかであり、自分の存在意義を限りなく喪失していった成長過程でした。

両親の離婚、虐待に友達のいない少年時代。愛を知らないまま欲望の満たし方だけを覚えて大きくなっていくモンスター。

環境が悪いというよく聞く話でまとめるのか?と思いながら読んでいくと、この作者キレます。

終了間近まで魂削って取材して‥

 

わけわからん。

 

と投げ出してしまうのです。

ここが最高に良いです。

ワタシは悲惨な事件の詳細がわかり、犯罪に至った生い立ちを聞かされてますます憤っていたタイミングで

書いてるほうも

わからない

と。

こんな犯罪者の心の闇なんて理解する必要もないのだと。最初から別の生き物なんだと。

これで良いんだと、素直に思えて。

あとがき

世の中から戦争がなくならないように悲惨な事件もまたなくなりません。

もう悲惨過ぎて想像するだけで涙が出そうになるくらいの事件が、毎日のようにニュースから伝えられてきます。

しかしワタシたちは、事件の些細な表面しかわからないままその事件は過去へとスライドされていきます。

無表情のキャスターがまるで科白のように伝えてくるだけですから。

実際には犯罪に至るまでのドラマがあり、被害にあった人はそれ以降の人生をねじ曲げてしまうほどのドラマがあるのに。

1つ1つの事件の裏にはたくさんの人の爆発しそうな感情渦巻くドラマが確かに存在するのです。

今回の事件は本当に鬼の仕業と形容されてもおかしくない程の残酷さです。

人はここまで残酷になれるのかと。

被害にあった少女の不運さ。ただシャープペンの芯を買いに行ったばっかりに鬼畜と出会ってしまうことになる運命とはなんなのかと。

年老いた女性からまだ何もわからない4歳の幼女までをなんのためらいもなく殺害。幸せな一家は一晩でまるで粘土のおもちゃのようにグチャグチャにされてしまったのです。

決して他人事ではありません。

いつ自分が残虐にそういう家庭で育った犯罪者に巻き込まれるかわからないのです。

いつ自分がテロに遭遇するかもわかりません。

この世界はそんな危険と凶暴さに満ち溢れているのです。

 

 

穴に落ちてしまった小さな猫を大の大人が数人がかりで泥まみれになって救出したというニュースが流れています。

同じく無表情なキャスターも、その時ばかりはちょっと微笑んでいたように感じました。

世界はそんな優しさも同時に持ち合わせているのです。

 


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