フィクションが現実を凌駕する瞬間『民宿雪国』を読んで。

2016-07-11

ノンフィクションが現実を凌駕する?!

アートという禁断の世界を暴力的に暴いていく異色作

さて、これどう受け止めるべきでしょうか?

 

以前、ワタシはこのブログで『さらば雑司が谷』の感想を書きました。その作者である樋口毅宏の作品となるのが今作『民宿雪国』です。何でもデビュー作だったさらば雑司が谷が発表される前に完成していたということです。

発表されるまでに時間がかかるということはそれだけ問題作だったということか‥‥

 
タモリのオザケン話が興味深い『さらば雑司が谷』                          disk-book-sarabatop

 

 

現実と虚構を右往左往!『民宿雪国』が暴く禁断の領域

『民宿雪国』を読んで/disk

アート、芸術の世界というのはワタシたち一般には受け入れがたい世界であります。

たまにニュースにもなりますが、○○の作品がなんと○億円もの値段がついて!!なんてことも。

そしてだいたいその絵を見ると

「なんか自分でも描けそうだな‥」

なんて思うことも。。

その絵を理解出来ないワタシがいる、ということなのでしょうが、果たして理解出来る人がどれだけいるのかと。そしてそこに価値を見出す人間はどんな人たちなのか?

アート界は本当に謎に満ちてオリマス。

あらすじ

一人の若い男が新潟県にある寂れた民宿を訪れるところから物語は始まります。

出迎えたのは車椅子の老人。そしてその民宿を占拠している様子のヤクザ風の男たち。

さらに押入れの中には手足を縛られた警察官が一人‥

車椅子の老人が丹生雄武郎。

民宿の主にして日本画家である。

今作品は戦前から戦後にかけて壮絶な過去を持ちながら生きてきた丹生雄武郎。

彼は民宿を経営しながら年老いてから日本画家として日本を代表する芸術家になります。

画家として順調に名声を得ていく彼と、その彼の経歴に疑問を抱いた記者。

丹生雄武郎の過去は暴かれるのか?そして暴かれた真実は何を語るのか?

みどころ

冒頭から緊張感溢れる展開が二転三転します。

もう

いきなり鷲掴みにされます。

正直、タイトルと背表紙の情報だけを頼りに勝手に抱いていた先入観は早くも破壊されます。

冒頭シーンでいきなり凄惨な殺人ショーが始まり、変態的な拷問ショーが幕を明けます。

この突然の展開に驚きを隠せません‥

しかし、その時にはもうすっかりこの作品に引きこまれていました。

そして中盤から物語は現実と虚構を行ったり来たりしながら丹生の過去を暴いていきます。

前回読んだ『さらば雑司ヶ谷』でもありましたが、この作者、たまに変態的な描写が突然現れます。

その辺りは好き嫌いが分かれるかも…

拷問的な…ね

でも以降現実と虚構を行ったり来たりする展開は読んでいてかなり面白いです。

おや⁉︎ってなる瞬間は多々あるし、実在する人物が何食わぬ顔して登場したり。

アート界という禁断の領域

さて、ここでこの今回のブログの最初に話を戻しましょう。

そうです、謎多きアート界です。

今作で丹生という日本画家が誕生し、そして評価を得ていく過程が描かれているのですが…

これがなかなか怪しさ満点

仕組まれたスタイル、盗作、徹底的な演出…

ブームもこうやって作られているんだなーと改めて実感します。

アーティストという存在もまた作られているんだと。

騙される側が悪いのか?そこまでして初めて価値が生まれるのか?アートとは本当に奥深いものです。


 

あとがき

『民宿雪国』はなんともジャンル分けの難しい作品です。(ジャンル分けなんてそもそも必要のない行為ですが…)

人に紹介する時に説明しづらいし、、でも読めば面白いし…悩ましい存在です。

この作品には発表までに月日を要したことは既に書きましたが、その理由はどうやら「在日」というワードが問題だったようです。

なんでも差別問題への影響を考慮して発売出来ない状態だったようですが、巻末に対談やらあとがきやらを付けてやっと発表出来たと

ワタシは読み終えてそんなことは微塵も感じなかったのですが、それはきっと差別される側に立ったことがないからでしょうか?

人種間の問題はとても難しく、ここに至るまでに築いてきた双方の歴史が更に出口を狭めているように感じます。

最近は特にお隣とのこともあるし、世界的な内戦、紛争も終息する気配がまるでないですよね。

例え難しい問題だからと、そこに配慮して作られし作品たちが闇の中に閉じ込められてしまうのはとても寂しいものです。

小説、映画、音楽、絵画、写真、洋服…

人はたくさんのモノを作り、生み出し、世界を繋げてきたように思えます。

これからもそういう素晴らしい作品が世界を繋げ、平和への一歩となってくれることを願います。

…ちょっと話が逸れてしまいましたが、『民宿雪国』、かなり引き込まれた作品でした。

 


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